このところ、GOPROのことばかり書いている。なぜ、GOPROなのか
昭和47年、1972年、「水中写真の撮影」という本を書いた。海洋大学助教授小池康之さんと共著である。自分で言うのもおかしいけれど、良い本だと思う。今読み返しても、1972年ころの水中撮影について全部わかる。この本を見て、水中撮影をやっていますと言ってくださった人がずいぶんたくさんいた。残念なことに、出版社が引っ越しの時に、版を紛失したとかで再版が出来なかった。おかげで、現在、古書の価格としては高くなっている。
水中撮影は広角が使いやすい。広角レンズでなければマクロ撮影以外はできないと言っても過言ではない。マクロでもマクロワイド、広角を使った方が撮りやすい。
「水中写真の撮影」を書いた1972年には、まだ、ニコノスの15mmレンズも、20mmレンズも発売されていない。ニコノス28mmが一般ダイバーが入手できる一番広角のレンズだった。
僕は昭和44年にアサヒペンタックス17mm、対角線170度という超広角のハウジングを作っている。その作例が、「水中写真の撮影」に載っている。この170度広角で、人工魚礁の撮影をしたり、水中ブルドーザの撮影をしている。
僕は、カメラマンとしては上手ではなかったから、道具から入る、他の人、他の会社が持っていない道具、カメラを持つことで、優位性を保つカメラマンだった。水中撮影では、28mmしか持っていないカメラマンと170度の超広角カメラを持っているカメラマンとどちらが優位であるかと言えば、水中撮影について言えば、答えは明確で、撮れるか撮れないかの比較になってしまう。
対角線170度というのは、魚眼レンズの一歩手前だ。魚眼レンズは180度でこれは、丸い画像になってしまう。魚眼レンズも使ってみたけれど、これは面白いだけで実用にはならない。この丸い画像を内接する長方形にトリミングすると対角線170度になる。
カメラマンはそれぞれ、自分の得意の画角を持っているが、170度というのは、僕の画角だった。
ペンタックス タクマーF4 対角170度のカメラは、僕の会社で売って、およそ30万だった。
そして、GOPROが画角170度だ。GOPROの成功は、この170度という画角にあったと思う。
アクションを切り取るのに最適な画角なのだ。
ペンタックス170度のカメラを得意にしていた僕は、アクションのカメラマンでもあった。
それで、もうペンタックスの17mmのカメラは使っていない僕の目の前に、画角170度のGOPROが出現した。しかも、手軽に買える値段である。
いろいろとやってみることになった。