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2014年 04月 14日
4月12日
潮美からコラムは、1p900字、7p用意している。・テーマは七つ。とすると、1テーマが900字だ。 10日から書き始めて、12日現在で、 ① 奄美大島 1955年と今 ② 人工魚礁 ③ ダイビングとは ④ 冒険と探検 ⑤ 大深度潜水その後 システム潜水 ⑥ 大深度潜水その後 テクニカルダイビング ⑦ 書いてきた本 スポーツダイビングの変遷 ながいものは6000字をオーバーしている。 とにかく縮めよう。 ブログを書いている時間がない。1テーマの縮めぶりを載せよう。 ③ ダイビングとは ダイビングとはどういうものなのか書こうと思った。 27歳の100m潜水について、今の視点から振り返って、「その時の潜水機材について、そして、空気潜水から、ヘリウム酸素潜水について、もう少し技術的に述べよう」とかんがえたのだが、待てよ、潜水について、ダイビングについてまるで知らない読者がいるのではないかと気がついた。 まず、潜水とは、この頃ではダイビングと呼ぶことがおおいのだが、本来、ダイビングとはオリンピック種目でもある飛込競技も含んでいる。 潜水する人のことを昔は潜水夫、この頃では潜水士と呼んだり、ダイバーと呼んだりする。潜水夫という言葉も嫌いではない。「潜水夫魂」と書いたT シャツが欲しいくらいだ。沈着冷静で何物も恐れない魂だ。しかし、やはり自分のことはダイバーと呼ぶ。 さて、潜水とは、水中に潜ること、まずは息をこらえて潜る。本文にも書いてあるが、これがダイバーの基本教養だ、と僕の時代のダイバーは思っている。これは素潜り、スキンダイビングであるが、だいたい20mぐらいまでを守備範囲とする。高齢になっても、つまり僕でもできるとても良い生涯スポーツである。 これより深く、生理的研究の成果を基本にしてはいるが、さらに深く潜るフリーダイビング(アプネア)というのがある。このごろ親しくしている岡本みすずさんは、きれいな奥さんだが、90mを目指している。そのうちには達成するだろう。27歳の僕が命がけで到達した90mを息を止めて潜る。もっと若ければ僕もと思うが、残念なことに無理だ。80歳で80mまで潜る計画が僕の潜水生活のゴールになりそうだ。もしかしたら、その時に岡本みすずさんも一緒にフリーダイビングで潜ってきてくれるかもしれない。 海女さんの話まですると際限もなくなるが、最近では重要な文化だと注目され、各地で海女さんが観光資源になっている。息をこらえて潜ることで漁獲が制限され資源とのバランスを持続的に維持し、しかも、能力に合わせて公平に資源を分配できる素晴らしい、世界に誇ることができる潜水漁法である。海女さんの素潜りもスキンダイビングも健康に良くて、海女さんも80を超える人がいるし、僕もスキンダイビングで、深さ8mまでは楽に潜れる。 息をこらえるのではなくて、水中で呼吸するためには、 袋に空気を入れて持って行く方法と、筒で水面の空気を吸う方法が考えられる。 忍者のように筒で空気を吸ってみると、30cmぐらいの深さで、もう吸い込めなくなる。水の圧力が肺を圧迫するので、吸えない。ポンプで空気を送り込まなくてはならないことがわかった。 大きいバケツを伏せて錘をつけて水中に引き込んでみた。すぐに苦しくなってしまう。これも、ポンプで空気を送り込んだらうまく行く。これが最古の潜水呼吸器だろう。大きいバケツではなくて、大型化して、釣鐘を入れて見た。潜函のはじまりである。 全て器械の進歩の方向は小型化である。 バケツの大きさを次第に小さくして行くことも試みられた。人間の頭が丁度は居る釜の大きさにして、釜に窓を付けて外が見られるようにすると、ヘルメット式潜水機になる。 一方、素潜りの海女さんは、最初はメガネのない素眼で、目に悪い職業だったが、やがて眼鏡が開発され、さらに目と鼻が入るマスクに進化した。眼だけの眼鏡だと、水圧で眼鏡が目に食い込んでしまう。鼻まで一緒に入れてしまえば、鼻から息を出して、圧力を平衡させることができる。 道具の進化の方向は、より小さく、軽くである。釜をかぶるのはどうも重い。 待てよ、マスクで鼻から息を吸い込めば潜水を継続できる。マスクにポンプで空気を送り込めば良いのでは、と気づいて、マスク式潜水機が生まれる。一方で、忍者の延長線上で、ホースを直接口に咥えてしまえ、と考えた人もいる。ポンプで空気を送り込めば、これでも深く潜れる。今でも、東南アジアでは、このタイプが使われている。これは、水タバコを吸う水煙管のようなので、フーカー(水煙管)方式と呼んでいる。 もう一つの潜水機進化の方向は、空気の消費量をできるだけ小さくすることであった。空気の消費量を小さくすれば、ポンプも小さくできるし、深くも潜れる。なにしろ、その場の水圧と同じ圧の空気を送らなければならないから、水深10mでは2倍、40mでは5倍の圧が必要である。圧力が高くなるので、ポンプを押す力、圧縮する力を増やさなければならない。10mで二人で押していたとすれば、40mでは、5人で押さなくてはならない、潜水機の空気消費量が大きいとポンプの大きさ(ピストンの容積)が大きく、10mで二人が必要ならば、40mでは10人で押すことになる。さらに、ポンプを押すのは重労働だから、交代要員も必要である。 ダイバーが呼吸する時、息を吸い込む時だけ空気が供給され、息を吐き出している時は、空気が止まっていれば消費量は二分の一以下になる。鼻から吸い込むマスクでは、口が何もしていない。洗濯バサミのような弁、口で噛んでいる時だけ開いて空気を流す弁を付ければ、歯で噛んで息を鼻から吸い込む。この仕組みを考えたのが、渡辺理一さんで、作ったのがが大串さんという鍛冶屋さんだったので、大串式マスクと呼ばれた。造られたのは、正確にはわからないが大正5年(1916)と書いている本があり、1918年には、タンクを背負う方式でこのマスクを使った特許が英国で申請されている。息を吸っている時だけ空気が供給される、つまり要求して時だけ空気が流れるデマンド(要求)バルブの祖という事も出来るが、まだ、容器の性能が悪く、タンクを背負う自給気式としては実用化されなかった。実用としては、第一次大戦でアレキサンドリア沖、80mに沈められた八坂丸から、片岡弓八が1925年貨を引き上げて、世界的に有名になった。 大串式 この大串式、そしてほとんど同じ原理の山本式のマスクが、1930年代の日本のマスク式潜水機の主流であり、定置網漁業のための潜水として、三浦定之助、山下弥総左衛門(どちらも水産講習所の先輩)が漁業者の潜水教育を積極的におこなって成果を収めていた。 しかし、この歯で噛むという動作は、歯に悪い。僕が東亜潜水機に入社した1957年当時には消えてしまっていた。 浅利熊記というこれも水産講習所の先輩だが、ヘルメット式よりも軽便に、そしてもっと技術的に容易に、漁師でも使える潜水機、出来れば自転車の空気入れのちょっと大型くらいのポンプで潜れる潜水機の開発を行い。佐藤賢俊さん(のちの旭式潜水研究所社長)の協力を得て成功し、伊豆半島方面でのテングサの採集、北の海での鮭をとる、流し刺網漁でスクリューに絡んだ網の除去などに使われた。この潜水機も空気の節約のためにデマンド式ではないが、空気の節約のために、マスクに袋を取り付けて、息を吐き出している時に送られてくる分を蓄えておくようにしていた。 旭式 本文にある東京水産大学での初期の潜水実習は、このマスクで行われた。 このマスクは、顔にしっかりと取り付けないと、空気が漏れてしまう。顔が痛くなる保しっかりと締め付ける。ポンプではなくて小型のコンプレッサーを使えば、空気消費など浅い海ではどうでも良い。緩くマスクを付けて、空気を鰓のように排出しても、ヘルメット式よりははるかに消費量は小さい。その発想で作られたのが金王式で、伊豆の海では旭式と人気を二分した。 金王式 ダイビングの沿革について書いてしまった。 これで3000字だ。これではブログでも読んでもらえないだろう。1000wが限界だ。今後は、ブログも1000Wとしようかとおもう。字数を制限しないと文章にもならないし、それにコラムには写真を載せるスペースがないから、沿革を書くのはまちがいだ。でもダイビングとは何なのか、自分の考えを書きたい。 最終的にどうなったのか。是非、単行本が出たら買ってください。 ては。
by j-suga1
| 2014-04-14 11:47
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