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2016年 05月 21日
減圧表のことを書こう。といっても理論的なことは書くほどの知識はない。M値についてやや詳しくわかるていどだ。それも、間違えて覚えていたのを修正して覚えたような具合だ。 僕の専門は、ダイビングの運用だと思っているから、その視点から書こうとしている。
理論は忘れていても大過はないが、運用の方法を間違えると、実害が起こる。先の今村さんにお願いしたワークショップも運用についてだったので、少し議論をしたかったのだが、難聴の身で、議論ができない。実はこれはとてもつらいことではある。
ダイブコンピューターと減圧表、ここでは、テーブルと呼ぶことにするが、まずそのことを考えてみる。自分のグラフィティ時代を振り返るとダイブコンピューターを本格的に使い始めたのは、1987年だった。その時、チュークでほとんど全部の船を潜って撮影したのだが、その時ダイブコンピューターを本気で使って、ダイブコンピューターの運用テストのようなことをやり、その記録(ノート)が残っている。
これが自分にとってダイブコンピューターのすべてであり、その後は、その経験(ノート)を芯にして、60mあたりまで潜り、実験的なダイビングを含めて、一度も減圧症で入院したことはない。その前、ダイブコンピューターのない時代にもかかっていないから、僕は一度も入院するような減圧症にはかかっていない。 1987年までは、テーブル頼りの潜水、1987年以降は、ダイブコンピューター頼りだ。1987年以来、テーブルは、いつも持ってはいたが使った記憶がない。 ここで高気圧作業安全衛生規則について、このところ高気圧作業安全衛生規則について書いているが、良かれ悪しかれ高気圧作業安全衛生規則の問題が、日本の潜水については重要なことなのだ。 レジャーダイバーは、自分は「レジャーだから」とこの規則を視界に入れないが、そのことが間違いだとこのところ書き続けている。規則だからと論ずることをせずに、あんな時代遅れのものと馬鹿にするが、時代遅れであるならば、その点を論じて、この規則を良くする。自分たちが使えるものにするべきで、この議論が無かったために、時代遅れの使えないような規則、運用則がまかり通っている。理論については触れない。 規則だから現実とは違う。理想と現実とは違うというのは、まだ納得できる。理想とはほど遠い、ただ現実とは違う規則を現実とはちがう、と投げ出してしまうのは論理的ではない。そのようなことをこのところ唱えて来た。
ただ、規則には縛られたくない、だから、という気持ちが自分の心の底にある。
規則では、計算式を規定しているが、ダイブコンピューターについては、なにも規定していない。だから、どう使ってもよく、自由なのだが、潜水士のテキストでは書いている。 書いてあることの良し悪しではない、準規則として、適切であるかの議論手続きが必要なのではないかと述べてきた。 そのテキストでダイブコンピューターについては、 「ダイブコンピューターを業務に使用する場合には、内蔵された減圧計算プログラムが高気圧作業安全衛生規則に示された基準を満たすものでなければならない。また、高気圧作業安全衛生規則では、減圧浮上方法を含め、事前に潜水計画を立案することが求められているので、潜水の結果から減圧情報を計算するダイブコンピューターではこれに対応することは難しい。 このようなことから、ダイブコンピューターを潜水業務に用いる場合には、あくまで補助的なものと位置づけ、主体はあくまでも計算等により策定した減圧表とすることが望ましい。」 これが準規則である。 ダイブコンピューターにたよって潜水することは望ましくない。と言っている。 自分の潜水は1987年まではテーブルにたより、以後はダイブコンピューターにたよってきた。1987年以前は望ましいが、それ以降は望ましくない潜水をしてきたことになる。そのどちらでも減圧症にはかかっていない。1987年は、ちょうど30年前だ。費用対比効果を言うならば、断然ダイブコンピューターなど使わない方が良い。 しかし、便利さについては、ダイブコンピューターはダイバーにとって、一般ダイバーにとって麻薬のようなもので、いちど使い出したら止められない。テーブルなど全く使わなくなる、使えなくなるのだ。
そして、ダイブコンピューターは事前に計画を立てる時にそのツールにすることは難しいというのだろうか、あのわけのわからない計算尺方式の高気圧作業安全衛生規則の別表第二で計画を立てるよりも、ダイブコンピューターのプラン機能を使ったほうがはるかに容易である。繰り返し潜水の場合には、その差は大きい。 ダイブコンピューターの機能が信用できるのかできないのか、その運用の仕方をどうするかというのは、次の重要な問題だが、このことについては別の長い議論になる。
さて、テーブルで潜水していたときは、目的とする最大水深で、何分潜水できるか、自分の持っている空気量と照らし合わせて潜水時間と浮上、そして、停止時間を決める。まず、無減圧をねらうから、何メートルで何分までが可能かおぼえて潜水する。すなわち、計画して潜水する。持っているのは、時計と水深計だ。潜水士テキストでは、ダイブコンピューターが無かった昔と同様に、これをやれ、というわけだ。計画したこの時間内であれば、少し浮いたり沈んだりはしても、最大水深は超えていないわけだから、上にいるときはとけ込みがすくないはずだから、余裕はある。
この余裕分がもったいないから、余裕を省略して潜水時間をのばそうと、階段を上るようなマルチレベルという表も出てきた。たとえば30mに10分、少し浮上して20mで30分とすると二つの水深で計算して合算すればかなり無減圧時間の延長ができる。自分についていえば、そんな面倒な計算をしてまで、無減圧にこだわるよりも、30mで30分として、3mで8分停止してしまう。その範囲内でなるべく最深部の時間を少なくする。このやりかたで1986年まで、最大水深70mまで潜っていて、減圧症にはならなかった。
ダイブコンピューターがないので、ボックスとかダイビングプロフィールなどかんがえることもできなかったが。
今の潜水士テキストでは、テーブルの計画で潜り、ダイブコンピューターは、参考にして、ダイブコンピューターで減圧停止の指示がでていなくても、スケジュール通りの減圧停止をして浮上しろ、というわけだ。ダイブコンピューターは、あとで記録(プロフィール)を確認するために使う。 文句の付けようがないが、ダイブコンピューターを持った以上、それにたよらないわけには、いけないのが、現実だ。 ダイブコンピューターのプラン機能をどのように使うかを考える、テキストとしては、そのことを説明する方が、良いのではないか。 細かく説明するとダイブコンピューターの機能、ダイブコンピューターの良否に踏み込んでしまうから出来ないと考えるのだろうか。 もう少し踏み込みたいので、序論です。考えながら書いているので、あとで矛盾が出てきそうだと思っている。
by j-suga1
| 2016-05-21 11:55
| ダイビング運用
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