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2016年 08月 29日
ハウジングの水没について ハウジング、(ブリンプ、水密ケース、プロテクター)そして、カメラ自体が耐圧、水密になっているもの、これらは、基本的に水没する。設計によっては、時間の問題だとおもっている。 それは、注意に注意を重ねていれば、水没は防げるだろう。しかし、注意に注意を重ねて、生き続けるということは不可能である。潜水するときの注意優先順位は、人によって違うだろうが、僕の場合、まず海況、そして、バディ、ユニットの状態、次に潜水機材、これは、場合によっては撮影機材が優先するときもある。優先順位では3番ないし4番であり、4番になったときに水没が発生する。プロの場合はたいていアシスタントがいるから、アシスタントが見て、自分がcheckする。あるいはその逆、もしくは、アシスタント、自分、アシスタントの順になるから、checkが、二重、三重になり、水没の可能性は低くなる。状況によっては(僕の場合?)水没90%までアシスタントの責任に決めていたから、(どちらかを責任者にしなければいけないので)水没はかなり防げていた。それでもニコノス5型を毎年、一台は水没させていた。スチルカメラは自分の管理だったからだ。6掛けで新品にしてくれる。 自分が作った(作らせていた)円筒形のハウジングは、ほとんど水没させたことがない。一回だけありえない水没があったが、内容積に余裕があるので、カメラ本体には影響はなかった。必ず水没と書いたけれど、それは、心のショックを少なくするための覚悟であり、設計によって、水没はパーフェクトに近く、絶対ではないけれど防げるのだ。
一般にカメラの防水はオーリングをつかう。小さなカメラ、たとえばGOPROなどは、Xリングの原理を使っている。XとOとを巧みに使うことで、現在の水中ハウジングの防水が達成されている。オーリングは円筒形シールを使えば、ほぼ確実に防水できる。円筒シールをダブルにすれば、ほぼ完全になる。ぼくが作らせていた円筒形のハウジングは、すべて生き残って粗大ごみになった。 構造上、円筒ダブルシールができない形もある。そのときは、水没するものと覚悟して、そのつもりで用心して使う。つまり、海況の次、潜水機材の前にcheckして、潜水機材をcheckし、最後にカメラをcheckする。さらに、水に入ったら、潜降する前にカメラを見て、気泡などがでていることがないか調べる。 そんなことは、毎度はとてもやっていられないので、水没が起こる。 水没しやすいシチュエーションは、潜水直前のあわただしいcheckであるという二律背反があるので、留意する。たとえば、オーリングにゴミが付いていないかと蓋を開いてみれば、そのときにゴミが付く可能性がある。あわただしく蓋を閉めれば危ない。 意外な落とし穴は、潜水を終了して、塩抜きのために水槽、あるいはバケツに入れておいて、水没させた経験が二回ある。水に入れておく時間はできるだけ少なくした方が良い。錆びるまで内機(カメラ)が現役で居られることは、デジタルになって以来あり得にくい。だから、長持ちさせる必要はないのだ。 次に、手に持って飛び込んだ衝撃での水没もあるので、水面で手渡してもらった方が良い。 長い間にほとんどの水没のパターンを体験した。それでも、大きい円筒形のハウジング、ドンガラが生き残っていて、事務所の一角を占領している。これも困ったものだ。 小さいカメラ、たとえばオリンパスTG シリーズとか、スマホ、ウエアラブルカメラなどは、X リングの変形 が使われていて、その部分が水密の命だから、かなり信頼性が高いが、ゴミ付き、閉め忘れというのがある。完全な閉め忘れというのは、なかなか無いから、閉めたつもりが締めの不十分というケースがある。僕のオリンパスTG-2は、このパターンで死んだ。 これは、人間工学的な設計ミスだと僕はカメラのせいにする。ニコンAW の方がこれは起こりにくい。設計が良いということだ。オリンパスは防水の上に、ハウジングに入れればほぼ完璧になるが、プロテクターを買わなければならない。 インストラクターやガイドダイバーのように、カメラに神経を使えない立場であり、しかもBCにぶら下げたりして使い方が荒い場合にはプロテクターが必須だろう。これで、水漏れがおこってもカメラは何ともない。ただし、そのとき、カメラの蓋が開いていれば同じことだが、確率としては無視できる。 僕はオリンパスのTGシリーズが好きだが、もう一度TG-3を買っても、おそらくオークションで買うだろうが、プロテクターまでは買わない。カメラに直接着けるワイドアダプターを持っているからで、プロテクターを買ったら、その上にまたワイドアダプターを買わなくではならない。「お金で解決できる」と言い放つのは、稼ぎの良いプロの世界だ。 新しい大型高級な一眼レフのハウジングは、かなり改善が加えられて、水没しにくくはなっていると思う。しかし、それは水没しにくくなったので、水没しなくなったのではない。
ウエアラブルカメラは、旧型でほとんど見られなくなったGOPRO2を3台使っている。4台買ったのだが、1台は水中で蓋が開いて完全水没した。蓋の開閉が、シングルアクションなので水中で衝撃でバックルがはずれてしまうのだ。バックルがはずれても、水中では水圧で蓋が圧せられているから、すぐには蓋が開くことはないが、そのまま浮上したときに開いてしまう。これを防止するために輪ゴムで止めておけばいい。ところがその輪ゴムで巻くのが面倒で省略する。何度かバックルがはずれて手で押さえて浮上したことがある。人間ってそういうものなのだ。GOPROも3型以降はダブルアクションになって、水中でバックルがはずれることはなくなった。GOPROをまねたSJ4000は、ダブルアクションになっている。 ウエアラブルカメラとか、オリンパスは、蓋が空いていたり砂粒がついたりしない限りかなり信頼できる。ニコノスよりも信頼性は高い。でも、水没する。
もちろん、ライトの水没、ストロボの水没も、これに準ずる。そういうことなのだ。
カメラが水没する確率の統計資料など無いが、人が死ぬ確率から0を二つ減らしたくらい。僕の、でたらめ計算によるダイバーの死亡確率が16000回に一度だから、160回に1回の確率だろう。念のために付け加えるが、確率とは、160回使ったら必ず水没するものではなくて、その都度の確率だ。円筒形ダブルシールでは、確率は1600回に1回ぐらいだろう。自分をふりかえって、ダイビング生活50年として、死亡事故の確率は0。5回、死んだかも知れないけれど生き残っている。カメラの水没は10回をはるかに越えているから、160回に一回よりももっと高いかもしれない。
なを、この水没論は個人的なものであり定説ではない。統計資料のない確率などナンセンスだが、水没が起こったとき、あるいは、自分が死んだとき、自分を慰める資料になれば嬉しい。
by j-suga1
| 2016-08-29 09:53
| 撮影
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