7月30日、東京港水中生物研究会の撮影調査
透明度は、夏だから良いわけはない。何時もマスクが曇っているような感じで、マスククリアーを何度もする。水が濁っているのだから、よく見えるようになるはずもない。蟹の類も少なかった。一尾だけ見つかったイシガニだ。しかし、かろうじて生きているような感じで、青白い。元気に逃げては行ったけれど、色が気に入らない。
すぐ近くに、イシガニの死骸があった。私は、見つかられなかったのだが、風呂田先生は餌をやって蟹を集めたら、ケブカイソガニがたくさん集まったというから、まあ、よかった。
魚は、マハゼが一面にいる。群れる性格の魚ではないので、すごいという形容はできにくいが、一面に居る。動きが速く、海底に色も形もとけ込んでいるので、それに透明度が悪いので、壮観とは見えないのだが、とにかくすごい数が居るのだと思う。この季節、まだ、マハゼは親ではなくて、これから秋に向けて育って行き、釣りに良いサイズになり、やがて冬には産卵する。
マハゼは、東京港の申し子だろう。たくましく適応している。
貝の類は、ムラサキイガイやマガキは居るに居るのだが、勢いがない。マガキは、この前の5月には生き生きとしていたのに、今は生きている個体を探さなくてはならない様子だ。ミドリイガイハ見つからなかった。中で、元気の良いのはイボニシで、産卵している。
一転して、午後の潜水で場所を移す、船の科学館、羊蹄丸の下のポンドは、死の海になっていた。お台場よりも、こちらの方が生物が豊なのに、何も居ない。前回、五月はひどい濁りだったけれど、濁りに向けてシャッターを切ると、かすかに写っているメバルの稚魚の数が多かったのだが、今度はメバルは1尾もいない。五月にたくさん見た、イッカククモガニもどこにもいない。風呂田先生が「僕も怖くなった」と言うような死の海になっている。蟹は死骸ばかりだ。なぜこうなったのだろう。まだ、無酸素状態になるには季節が早いし。それでも40センチほどのクロダイが居た。逃げなかったのだが、デジタルカメラの鈍さのために撮れなかった。
次回の9月には生き物は戻っているだろうか。
海底には一面にホトトギスガイの絨毯だったらしいのだが、そのホトトギスガイも死んでいるものが多かった。
ホトトギスガイの絨毯は、その下の生き物、特に砂地ではアサリや蛤を殺してしまうので、昔、やっきになって駆除作業をしたことがある。駆除作業が続くうちは、日当が稼げるのだが、
まもなく大きな台風が来て、海底がかき回され、絨毯がずたずたになって、駆除作業はおわってしまった経験がある。砂をかぶっていると、絨毯は見えにくいので、知らなかったのだが、ここの海底は絨毯で覆われていたのだ。この絨毯のことを、東京、富津あたりの漁師は「メジメジ」という。