君島環礁
トラック大環礁の外側に、衛星のようにくっついている小さな環礁だ。
その縁は、500mまで一気に落ち込む、息をのむようなドロップオフだ。一度見たら忘れられない光景の一つだ。
イソマグロ、サメ、カマスの群れ、ツンブリの群れが通り過ぎ、足下にはクマササハナムロの群れがよってきた。同行の小久保君は、世界の海で、ハナダイやチョウチョウウオをウオッチして来たが、はじめて見たハナダイもここに居ると言っていた。
地形を撮影することも、魚の撮影も、はじめてきた場所なので、集中できない。ツアーの引率者としての責任もある。
もう一度来たい。今度は、君島に潜ることだけを目的にして来よう。西風が吹くと外洋に出られないので、その時だけ、環礁内の沈船などを潜ろう。
お弁当は君島環礁の縁の小島、橘島に上がって食べた。
小島の周囲は、白い砂にパッチリーフが点在して、スキンダイビングポイントとして最高だ。
外洋の造礁サンゴは、岸近くでもきれいだ。
富士川丸は、一番潜りやすい船だ。だからナイトダイビングが初心者でもできる。夜は刺胞動物のポリプが満開になる。
夜は、魚の色も鮮やかに感じる。ありふれたイットウダイだけれど、みとれてしまう。
神国丸は、おそらく、トラック環礁の沈船では、一番美しい。ソフトコーラルは世界一だと、かつてクストーが来たときにコメントしたとか。まだ、僕はナイトダイビングをここでしたことがない。
沈んだ船は全て日本の船だ。トラックでは、全ての沈船を歴史のタイムカプセルとして保存しているが、日本の愚かしい戦争のタイムカプセルだと思うと悲しい。
太平洋戦争で、一番たくさんつくられて、たくさん落とされた爆撃機だ。どこから飛んできて、どこに行こうとして、落とされたのだろう。
シャークアイランド
昔からサメの多い場所だった。サメの撮影に何回か使った。
このごろではサメの名所になりつつあるらしい。
シャークアイランド付近は、インリーフ(環礁の内側)のダイビングポイントとしても、良い場所だ。
トラック島はこの世とは思えないほど美しい、楽しい海なのだけれど、なぜか最近、太平洋戦争の悲しさを考えてしまう。 指導者の愚かさのために多数の人が無意味に自分の人生を断ち切られた。
隣の国の愚かさのためにまた多数の人が死ななければ良いのだけれど
とにかく、この島にもう一度来る。君島環礁を思う存分潜り、撮影したい。