3月3日(水曜日)
三月三日はたしかひな祭り、たしかと言うところ、陸上の季節感が紛失している。少し暖かくなったような気がする。もしかすると、もうこれで、今年はドライスーツは着ないのではないか。ダイビングのスケジュールを入れていない。3月後半になれば、少し冷たくてもウエットスーツだ。
一昨年は一四度でウエットスーツになった。今年、この前の外房は十六度だった。温暖化か?二度違うと、ダイバーにとっても大きい。
冬の羽田沖、
ドライスーツからウエットスーツ、ウエットスーツからドライスーツに変わるとき、ダイバーにとっては重大な衣替えだ。秋から冬にかけては、海の水温が陸上の季節よりも、寒くなるのが遅れることから、だいたい二〇度を切ると、ドライスーツに変えなくてはと思い始める。
冬のシーズンを迎える前に、ドライスーツに身体を慣らしておこうという意味もあって、二〇度を切ったところあたりから、僕は替えるようにしている。水温よりも気温の低下も身体にこたえる。水から上がったところで小舟の上で風に吹かれると、2本目のダイビングが辛くなる。
だから、ドライスーツに早めに切り替えるのだが、ドライスーツになると、ウエイトも増えるし、フィンも重いドライフィンに替える。一気に鈍重になるし、首が締め付けられるのがとてもいやだ。歳をとっていると、首を絞められて顔を冷やすと脳梗塞とか心筋梗塞の心配がある。いやいやドライスーツに替えるのだけれど。そして、春は早めに、水温が一五度よりも上になると、僕は5mmのウエットに替える。それが、今年は、お台場を除いては、冬でも水温が一四度より低くならない。そうなると,逆に何度でウエットになるか決めにくくなる。きっと4月半ばまでドライスーツでいるだろう。
1月の21日、お台場の潜水では,水温が11度だった。例年ならば10度だから、ここも少し高い。東大の杉原君(女性)は小柄な人だから、貸してあげられるドライスーツもないし、買う当ても無いので、ウエットスーツで潜らせた。 冷たいけれど、寒くなるまでは大丈夫だなどと言ってもぐらせた。
ファイターだから寒さに耐えたけれど、学者はファイターだからこそ、セーブさせなければいけない、などと書いているのに、GOサインを出してしまう。しかし、彼女には、インストラクターを一人、密着状態で貼り付けてあるし、水深2m以上には行くなと厳命して,寒さになれさせた。
夏でもドライスーツを着ているダイバーがいる。工事の作業ダイバーと、PADIのダイバーだ。さすがに、沖縄や八重山では、ウエットスーツになる人もいるが、本州沿岸では、夏でも汗をかいてドライで潜る。
PADIの前社長の宮下君に、なぜ暑いのにドライなど着せるのだと訪ねたことがある。高価なドライスーツを売るためだろう、と少しからんだら、「いや、お客様のために
ドライスーツを薦めているのです」という答えが返ってきた。
実は、今もPADIが夏もドライスーツを薦めているかどうかしらない。もうそんなことはしていないのではないか。まさかとおもうのだ。
しかし、夏でもドライスーツを着ていれば、冬に向かったときになれないドライスーツに慣れないで、いやだと思うこともない。何時でも同じだ。過酷な条件の時の装備を,楽なときにも着けていて、バランスを何時も同じにしておくと言うのも、一つの見識であろうとは思う。
しかし、それでは季節感が無くなってしまう。春になって、まだ水温は上がらず、14度、刺すような冷たくさ、真夏にウエットスーツでスキンダイビングする喜びもなくなってしまう。