水中用語集の下書き原稿の書き直しをしながら、ブログにしている。
広角レンズ
水中環境は、相当に透明度が高くても、陸上の様に遠方を見通すことはできない。また、日本近海の海は、良いときでも10m前後しか見通しが効かない。被写体に接近しなければ鮮鋭な映像は得られない。接近して、しかも広い範囲を写したいので水中撮影では広角レンズが標準である。
レンズの画角については、フイルムカメラの焦点距離に慣れ親しんでしまっているので、デジタルカメラでも、35mmフィルムカメラに換算して何ミリ相当などと表現している。デジタルカメラは、画面サイズの大きさが様々であり、しかもフィルムに比べて小さいので、そのままの焦点距離を言っても画角が判断できない。
フィルムカメラの定盤であったニコノスレンズの焦点距離と画角をしめす。
ニッコール 35mm f/2.5 水中画角 46度 最短撮影距離 0.8m
UWニッコール 28mm f/3.5 水中画角 59度 最短撮影距離 0.6m
UWニッコール 20mm f/2.8 水中画角 78度 最短撮影距離 0.4m
UWニッコール 15mm f/2.8 水中画角 94度 最短撮影距離 0.3m
リサーチ・ダイビングで一番使いやすいレンズであった20mmは、水中画角78度である。水中画角80-90度が使いやすい。なお、
水中では光の屈折によって、遠くのものが近く見える。つまり望遠効果がある。望遠とは、画角が狭くなることである。陸上での撮影で28mmと言えば、広角であるが、水中では四分の三の画角になるから、37mm相当になってしまう。
防水機能のある廉価なデジタルカメラには、35mmフイルム換算で28mmが標準である。ニコノスの28mmは、水中での画角補正がなされていたが、防水デジカメでは、補正がないから、35-37mmレンズ相当になり、そのままでは、使えない。ハウジングを購入すれば、ワイドコンバージョンレンズも売りだされているから、別に購入し取り付けることができる。
イノンというメーカーのデジカメハウジング用のワイドコンバージョンレンズを見ると、35mmフイルム換算で28mmのレンズに取り付けると、水中で画角100,8度、陸上で179度という超広角になる。さらにその上にドームレンズアダプターを取り付けると、水中で144度の超広角になる。リサーチダイビングであれば、高価なデジ一は必要なく、この程度のデジタルカメラで充分だろう。プロの作業や、リサーチ・ダイビング、サイエンス・ダイビングでは、荒い使い方をするから、水没は起こりやすい。防水機能を持つカメラをハウジングにいれれば、もしもの水没の時でも助かる可能性が高い。
今いじっているペンタックスのW90も、35mm換算で28mmレンズだ。このレベルのデジカメは、みんな28mmだ。
イノンのUWL-100 28ADをつけると、水中最大画角100°、陸上最大画角179°、になる。買うことになるだろう。
しかし、sea&seaのワイドコンバージョンレンズをつけたデジカメハウジングを6台も持っている。これは、調査の仕事で、インターバルを仕掛けて、水中に設置していたからだ。
テストしてみたら、ペンタックスのW90のインターバル機能は、リコーのカメラより進んでいる。
撮影の結果だけれど、ダイバーが手持ちで撮った画よりも、設置して撮った画の方が良いことがある。ダイバーの視点は限られた点にとどまっている。インターバルで撮ると全く別の視点になる。
あまり、撮影のノウハウをばらすと、怒られるからこの辺で。
でも、やらなくては、僕には時間がない。どうしてもあせってしまう。