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2011年 09月 06日
船の科学館 B1F に「海をひらく」という展示がある。地下1階の全部を海洋開発、潜水関係の展示で占められている。と言ってもそれほど広大なスペースがあるわけではないのだが、とにかく、都内で潜水関連の博物館展示と言えば、ここぐらいだ。 船の科学館休館にあたって、もう一度、ここをじっくり見ておきたかった。新しく開館するにあたっては、もっと水中活動、潜水関係の展示を充実させるように企画を出して、お願いするつもりではあるが、この展示が再現されることはもはやないのであって、これは見ておかなくてはいけない。 まず目当ては、大串式潜水器である。 今や伝説となったこのマスク式潜水器の実物を見られるのは、日本では、ここだけである。現存しているのが他にあるのかどうかも知らない。もしも、本当にもしもだが、誰かが実物を持っていたら、あるいは持っている人を知っていたら、知らせてほしい。 ![]() 大串式潜水器 ![]() ホースで送られてきた空気は、パイプを通って、口の前の開閉弁に入り、歯で噛んで、弁が開くと逆側のパイプを通ってマスクの中に噴出する。空気は鼻から吸う。 「潜水の友」より 大串式は、東京水産大学の前身である水産講習所の卒業である渡辺理一が真珠貝の採集、真珠養殖などのために考え出して、大串金蔵が作り上げたものであり、渡辺が大串の功労をたたえて大串式と名づけていた。潜水器の進化の方向は、どれだけ空気の消費量を少なくするかに向かっている。レギュレーターの垂れ流し、フリーフローでは、あっという間に空気がなくなってしまう。このフリーフロー状態が、定量送気式である。ヘルメット式潜水器など伝統的な潜水器は、この定量送気である。今のスクーバのように、吸った時だけ空気が流れる方式がデマンド式であり、言うまでもなく空気の消費はデマンド式の方が比較にならないほど少ない。要求した時だけ空気を流す弁として、一番簡単なのは、手動である。吸う時だけバルブを手で開いてやれば良い。水道の栓のように廻すのが原始的であるが、プッシュする。手で押してやることも考えられる。事実、手の指で押す方式のスクーバも考えられ、作られ、そのうちのいくつかは実用にもなった。大串式は、歯で噛んでバルブの開閉を行う、歯動式である。ことを考えた。ダイバーが鼻と眼を覆っている一眼マスクの下、口の前に位置する洗濯バサミのような開閉弁レバーを噛むと目と鼻を覆うマスクの中に空気が噴出してくるデマンド方式である。 ![]() 大串式は、アクアラング以前のスクーバの元祖のように言われている。船の科学館の展示の画も、まるでスクーバである。1918年にタンクを背負う形で英国に特許の申請が出されている。が、スクーバとして使われた実績はない。タンクの容量、充填圧が低かったため、実用になるほどの時間、潜ることが出来なかったのだろう。 しかし、一世を風靡したマスク式潜水器である。1924年(大正13年)片岡弓八は、地中海、アレキサンドリア沖で、水深70mから八坂丸からの金塊引き上げに成功した。 これらのことについて、山田道幸 「海底の黄金」 講談社 1985 ノンフィクション小説がある。書いたのは歯医者さんだというが、とても面白い。ただ、アラフラ海の白蝶貝採りについての部分はフィクションの色が濃いように思う。 大串式の深く潜れる性能に着目して、定置網の潜水調査、網の修理にも使われた。定置網の潜水調査を自らも行い、指導したのはやはり水産講習所の卒業生である山下弥三左衛門と、三浦定乃助であった。定置網の調査では、水深50mを越えて潜水することが日常であり、漁業のための潜水に関する限り、日本の潜水技術は、世界一であると誰もが思っていた。しかし、1935年、僕の生まれた年だが、「潜水の友」 三浦定之助 日本潜水株式会社 1935 によれば、三浦先輩の仲間の10人に2人潜水病で命を落とし、ほとんどのダイバーは潜水病にかかっている。 この本を発行した日本潜水株式会社は、マスク式潜水器のメーカーであり、「潜水の友」は、そのマスク、山本式マスクの販促のために書かれたものである。大串式マスクばかりが知られているが、山本式の方がたくさん使われている。大串式の方が早く使われ、しかも、金塊引き上げという実績がものを言って、山本式のことを知る人は少ない。今では、この「潜水の友」で山本式のことをしるばかりである。歯で噛んでバルブを開閉するというところは、大串式と同じである。だったら、大串式の真似だとも言えるが、山本式を考案した、山本虎之助船長は、自分で長い間苦労して到達したものだと、山本式の販促の本、「潜水の友」では書いてある。山本式が大串式にとって代わった理由は、使いやすかったからだと思う。原理は同じでも、ダイバーは使いやすい方を選ぶ。多分、歯で噛む力が山本式の方が軽く、歯が痛まなかったのではないだろうか。残念なことに、山本式の現物がどこにもない。噛み比べることが出来ない。 ![]() 山本式マスクを手にする三浦定之助、大串式よりも進んでいるように見える。開閉弁は、マスクの横側にあり、歯で噛んで梃子を動かして、弁を開閉する。 僕が東亜潜水機に入社したころ、僕の仕事場であった倉庫の一角の天井から、山本式と大串式マスクが吊り下げられていた。そのころは、そんなものは過去の遺物であると思っていた僕は触ってもみなかった。ある時、そのマスクを買う人が居て、社長が売り払って僕の目の前から消えた。多分これがまだ使える、動く、最後の山本式だったと思う。日本潜水株式会社は、今の僕の事務所の近く、永代橋のたもとにあった。訪ねて行ってみてもその跡の見当もつかない。この会社がいつ、どんな風に消滅したのかもわからない。日本の潜水器の歴史をもしも書くとすれば、調べなければならないが、糸口がない。僕には時間もない。もしも、何か知っている人がいたら、連絡してほしい。山本式マスクを持っている方があれば、これも連絡してほしい。suga@suga.name がアドレスです。 ※ 潜水の友 三浦定之助 日本潜水株式会社 1935 ※ Sport Diving BSAC : Stanley Paul 1987
by j-suga1
| 2011-09-06 20:51
| 歴史
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