「パレ・ラメール」
次に行ったのは、波浮から元町に向かう道にある、勤労福祉会館の建物を改造した「パレ・ラメール」貝の博物館だ。もと水産試験場の技師であった草刈さんのコレクションをもとにした博物館で パレ・ラメールとは海の宮殿と言う意味である。草刈さんの次は、水産試験場にいた親しい友人の三木さんが館長をやっていた。今は、大島海洋高校の先生で、潜水教育の中心だった望月先生が退官して館長になっている。望月先生にあうことも、目標の一つだった。展示も各段に良くなっていて、もしも、貝類に興味のある人、あるいは貝殻のコレクションをしている人ならば、絶対に行くべきところだ。
僕のもう一つの目標は、アンボイナ貝を撮影することだった。アンボイナ貝は、美しい大型のイモガイだが、猛毒(神経毒)で、触れなくても手を近づければ毒の銛を連射すると言われ、治療の薬品は無く、死亡率70%とも言われている。南方系の貝で、珍しい貝であり、水産大学の博物館には実物がない。沖縄では網にかかったこの回に刺されて死んだ漁師も多数と言われている。(未確認)ところがウィキでは、「これまでに日本ではアンボイナ刺傷によって少なくとも10数例、30人のダイバーが死亡してい。沖縄では特に本種被害が多く、「ハブガイ」(波布貝)と呼ばれて恐れられている。」
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%9C%E3%82%A4
30人のダイバーの死亡などとは、信じられない。調べなければいけない。とにかく、非常に美しいので、つい手をだしてしまうおそれがある。良い写真を「ダイビング・水中活動の基本用語」にのせたかった。アンボイナほど毒は強くないが、死亡例があるといわれているタガヤセンミナシもイモガイのるいである。望月先生にショーケースから出してもらって撮影した。
上がタガヤサンミナシ、下がアンボイナ
リュウグウオキナエビス 僕はリュウキュウオキナエビスとおぼえていた。まちがい。
オキナエビスは、美しい巻貝で、珍しい。特にリュウグウオキナエビスは、大型で美しい。立派な標本が陳列されている。テラマチオキナエビスは、もっと珍しい。これも陳列されているが、磨き上げられているようで、本来の姿かどうかわからない。普通?のオキナエビスは、皿盛りで飾られていた。みんな底刺し網にかかったもので、生体は珍しい。今度ガイドを頼んでいる柳場さんが秋の浜の水深70mで撮影した写真が飾られている。この時は僕もそれを撮影したくて、ガイドしてもらって60mまで降りたけれど、探している時間は無くて、あきらめて引き返した。1996年のことだから、16年前だ。
柳場さんの撮影した写真
今、月刊ダイバー(8月号、ちょうど書いているところ)に書いているサザエの棘についての展示もある。二枚貝のハマグリ、アサリの類もほとんどすべての種類が展示されているが、なぜか、お台場で多産のホンビノスガイの展示が無い。ホンビノスガイはそんなに新しいのかと思うと、日本語訳だが「海底二万リーグ」に書かれていたりする。望月先生に展示に加えるように進言した。
とにかく、波浮の港と、パレ・ラメール、悪天候などで潜れないとき、潜れても、半日を割いて一見の価値がある。