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2014年 11月 14日
奄美大島ー2
僕たちの今回のダイビングチームは、早稲田大学先進理工学部、中尾研究室、生物化学、バイオケミストリー教室のチームだ。今回の、と書いたけれど、目下の僕のダイビングチームは、この研究室のチームだけである。中心は中尾教授、学生2名、博士課程の町田君、修士1年の石橋君と、そして僕の4人だ。僕の役割は、安全管理、撮影記録。その昔は、潜水のコーディネートも僕の任務だったけれど、もともと、中尾教授は、ダイビングのキャリアは古く、そして、町田君も有能だから、僕は半ばゲストで行動してお任せしている。 なんで、自分が生存するのに精いっぱいの僕が安全管理なのか?と疑問に持たれるかもしれない。それは、こういうことなのだ。と、自分中心に考える。自分中心に考えることは、ダイバーの特性だと思う。ダイバーでなくても、人間は自分中心に考えるのが自然だが、僕は、僕が生存できる範囲で行動する。そうすれば、若い町田君、石橋君、そして中尾教授も安全ということなのだ。と自分で自分中心に決めつけて、もっかのところ、日本で最も安全にダイビングをしているチームだと信じている。今、月刊ダイバーに続、潜水グラフィティを書いていて、僕の真夏の時代、1980年代前半のことを書いているが、スガ・マリンサーカスの時代で、大学生の娘、潮美がサーカスに付き合わされているところを書いている。どちらが安全か、常識的に考えればすぐにわかる。どちらが、すごいかと言えば、これもすぐにわかる。どちらもすごいと、自分では思う。 たとえば、空気消費量を考える。今日のダイビングで、僕の残圧が50だとする。中尾先生の残圧は60、町田君の残圧は70だろう。体が小さくてバドミントンの選手だった石橋君は90-100あるはずだ。僕は自分中心で、自分のゲージを見て浮上を決めればいい。 奄美大島現地のサービス、太田君も、僕たちのことはよくわかってくれている練達のガイドである。絶対的に信頼のおけるガイドないと今の僕は潜れない。むろん、僕のスタイルがベストだとは言いにくいが、一番弱い人をキーにして行動するというのが安全の鉄則だから、これで良い。 今回潜ろうとするポイントは、中尾教授が決めている。彼は、この地域でずいぶんたくさん潜っているはずだ。バイオケミストリーのサンプリングでは超の字が付くベテランダイバーである。サンプリングの成果については、中尾教授の責任だ。 季節の風が強く吹いていて、目標のポイントに潜れるかどうかわからない。 僕はと言えば、東京でしばらくデスクワークが続いていて、悪くなっている。たいていの安全誓約書には、調子の悪い方は、申し出てくださいと書いてあるが、都会で暮らす、たいていの人は、いつでも調子が悪い。多分、中尾先生の調子も僕と甲乙つけがたいだろうと想像している。彼は、僕よりも慎重で、よくダイビングをパスすることがある。僕は調子が悪くても、ダイビングすれば回復すると知っているから強行する。死ぬときは、前もってわかると信じているが、一連のダイビングでの、一番最初のダイビングは、それだけ慎重になる。 流れが1ノットぐらいある。僕は行こうと思ったが、中尾先生が1ノットよりも強いと判断して、場所を移した。100mも場所を移すと変わる。ポイントは大島海峡の出口に近い、安脚場というところで、いわゆるダイビングポイントだから、ボートを止めるブイがいくつも浮かべてある。 タンクを背負うのが難儀だから、船尾の梯子のところに腰を下ろして、タンクを背負う。そのまま前のめりに水に落ちれば、すなわち、エントリーだ。流れがあるといやなので、水に入ったら、水深7mぐらいの海底で待っていて集合しようと決めた。 11月12日、一回目の潜水 潜水開始1026 潜水時間50分、浮上1116 最大水深11,4m 平均水深6.2m 水温25度 僕のウエットスーツは、元 学生レンタル用にしていた、5mmの両面のワンピース、もう20年近い時代物で、保温力も古い。目下のところこれが体にフィットしている。新しく作る時がきているのだが、今シーズンのウエットは今日までだろう。その上に2mmのフードベストを着た。最初は寒くなかったが、次第に寒くなってきた。もちろん、耐えられない寒さではない。 本当にこのポイントには採集するべき対象が居なかった。町田君がいくつか採っただけで潜水を終わった。船上は風が体にあたると水中よりも寒かったが、太陽が出たので、プラスチックタオルでスーツの上から体をこすって、しのいだ。 お弁当を食べてから、移動、対岸のポイントで潜った。ここも、水に入った瞬間に期待できないと中尾先生が身振りで言う。2回パスするのは、まずいのか、潜水を続行した。 いくつかサンプリングしたが、思ったような成果はなさそうだ。海が悪くて、潜れる場所が限定されるので仕方がない。 11月12日 2回目の潜水 潜水開始 1241 潜水時間 57分 浮上 1338 最大水深 12.2m 平均水深 6.6m 水温 24.8度 透視度18m 学生二人は、トリムの姿勢をとって泳いでいる。中尾先生も、水平になっている。僕だけが、45度の自然体で、泳いでいる。水平姿勢については、中尾先生の方が、良い。 トリム姿勢はJAUSのプライマリーコースの基本であり、コースを作った久保君にいわせれば、最近、PADIのC カードがこのスタイルを採用したが、それよりも前から、JAUSはそれを唱えている。僕も、およそ3年間、JAMSTECのプールでのコースに付き合って、練習を重ねているが、ものにならない。プールで練習している時には、形になるのだが、長い年月の習慣で、フィールドにでて、カメラを構えると、45度の前傾姿勢になってしまう。 若い人たちなら、新しい習慣を身に着けることもできるが、僕はもうできないだろう。決してあきらめることはしないが、目下の状態では、、カメラを構えた状態で、トリム姿勢を撮ると、カメラワークができなくなってしまう 僕の今のカメラシステムは、オリンパスのTG2にワイコンを付けたものと、GOPROを並べていて、GOPROでは、動画を、潜水開始から、終わりまで、回し続けている。これで、すべての状況が記録される。 TG-2の方は、主としてスチルを撮るが、画面が明るくてきれいなので、常にTG-2の液晶画面を見ている。撮影結果は、GOPROと甲乙つけがたいのだが、液晶画面では大きな差がある。GOPROのデジタル画面は、暗いので、あまりよくわからない。並べているので、これはと思った時にTG2のシャッターを押す。このところこのシステムが気に入っている。このシステムに限らず、テレビのカメラマンだった時代も、常にファインダーを見てカメラを構えて、潜水している。カメラマンのくせに、ファインダーをのぞかずに手にカメラをぶら下げて泳いでいてはいけない。 しかし、インストラクターとかガイドダイバーは、原則として、ゲストから目を離してはいけないわけだから、ファインダーを覗いてはいけない。 インストラクターやガイドダイバーのための記録用にマスクマウントのウエアラブルカメラブルカメラを考えた。 今度のダイビングでは、サンプリングの記録をする撮影が仕事の内だから、TG2の液晶ディスプレイを見ながら動いていて良い。それに、僕たちのチームワークは万全だから、町田、石橋のバディが離れることも無いし、僕と中尾先生も離れない。先生が何かを見つけて指差すと、僕が撮影する。その撮影が終わったら、カメラは海底に上を向けて置いて、サンプルをジップバックに入れるのを手伝う。そして、移動してゆく。 上を向けて海底に置いたカメラの映像。
by j-suga1
| 2014-11-14 22:02
| 旅行
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