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2019年 10月 29日
学生の部活としてのダイビング
学生のダイビングは、自分が学生だった時から今日に至るまで、自分のライフワークの一つである。 まず、自分が大学3年の1957年に海洋大学、時の東京水産大学に潜水部を創ったこと。2017年に創立60周年を迎えた。 1968年、関東学生潜水連盟が誕生したが、それは、1967年に発足した自分たちの日本潜水会からのスピンアウト(だと自分は思っていた)だったので、初期の講習、技術指導を行った。この技術指導がハードだったために、関東学生潜水連盟の指導もハードになり、後に発生する事故の遠因にあったのではと反省する。
自分とダイビングの関わりは、すべて、事故がその基調になている。つねに最悪の事態を予想している。そのおかげで、自分も生き残り、自分の目前では、死亡事故は起こしていない。しかし、事故とは不条理なもので、自分の関わりの範囲、(自分の会社、関東学生潜水連盟、など)では、死亡事故が起こり、それが、トラウマになっている。自分が現場にいたら?
「最悪の事態を予測していても、一瞬の隙で事故は起きる。」それが、自分の視点である。 一瞬の隙間とは、事故を防止するシステムがない、もしくはそれがその瞬間機能していない。人間関係の隙間、思い上がり、油断などである。それを察知できるのは、空気(雰囲気)であり、かなり抽象的である。それが、具体的な形で見られた時には、即、手を打たないと危ない。多くの場合、手を打たなくても、無事に過ぎるが(事故の確率はそれほど高くないので)事故が起こったときには「やっぱり」と思うし、手を打ったから、無事だったと感じたこともある。
日本水中科学協会のシンポジウムは、安全性の追求が一つの柱になっているが、その具体例として、学生のダイビングを取り上げている。
太字はプログラムから引用
11:20-11:40 「学生による 安全なリサーチダイビング手法の追究」 東京大学 海洋調査探検部 田村陸
今年、50周年を迎える海洋調査探検部では、現役生(2年生、3年生)が50周年記念講演会で発表すべく、JAUSが波佐間(千葉県館山市)で行っているリサーチ・ダイビング研究会に同道し、独自の安全な海洋調査探検方法を探ってきました。その内容を今回のシンポジウムでも紹介します。
東大海洋調査探検部は、およそ、50年前、その発足時から、アドバイザーをつとめていて、幸いにも無事故で過ごすことができた。しかし、それは幸いにもであり、隙間がなかったわけではない。隙間をなくす具体的な方策として、目標の設定、目標に向かっての計画立案と実施がかんがえられ、その具体例の研究と発表である。 一般の大学、部活のダイビングシステムは、3年生の中頃には部活から退いてしまい、学内OBというかたちになるが、海洋調査探検部は、探検(リサーチ)が目標になっているので、ドクターコースまでが、かかわっていて、大学生が成熟するのは、4年生あたりからであるから、システムとして安全性が高い。 発表は3年生の田村君である。
11:40-12:00 「海洋大学潜水部の活動と、館山坂田内湾の海について」 東京海洋大学 潜水部 佐藤新
昨年、60周年を迎えた東京海洋大学潜水部は、学生が安全にダイビングを行うこと、フィールドである館山坂田内湾を継続してリサーチ・ダイビングする可能性についてなどを紹介します。 発表者の佐藤新君は3年生です。
なぜ、リサーチ・ダイビングが、学生のダイビング活動にふさわしいかというと、リサーチ・ダイビングでは、目標設定が必須、そして、記録することが、必須。その上に、うまくすれば、研究活動につなげることができる。プロの研究者にならなくても、アマチュアのダイバーでプロ級の人がたくさんいる。そういう人たちの集まりとしての側面を日本水中科学協会は目指してもいるのだが、道は遠い。 ましてや、海洋大学は海の研究をするのが、目標、海洋大学潜水部は、1957年創部、2017年に60周年を迎え、祝典を開いたが、その60年で研究した成果の発表は何もなかった。強いていえば、自分がコーチをしていた、1967~8年だったか、それは、関東学生潜水連盟のできた年でもあったのだが、「水中ソリの研究」を指導したくらいで、その時撮影したモノクロ16mmフィルムの映像が、50年間、アニバーサリーとして、繰り返し映写されている。(もう一度やってもいいかなと思っているが)以来、何の研究もない。年々、「今年も無事で良かったね」という成果だけだ。この数年、それも危うくなってきた。先に述べた、隙間、亀裂がみられた。心配して講演会など行ったが、何の効果も無さそう。
ところで、東大のところで述べた。人工魚礁が、なぜ。学生のリサーチ・ダイビング講習、実習に好適かというと、まず、場所の特定、位置の特定が容易であること、観察の第一歩は場所の特定、定位置の繰り返し観察記録なのだが、それが、容易にできる。そして、ダイバーが、どこにいて、どのコースで動くか、決めることができる。つまり、はぐれることがない。波左間の場合には、ボートが直上にあること。 それらのことが、なぜ、安全に直結するのか、そんなことは、ダイバーのイロハのイで、僕がこの年齢まで生き残り、未だにダイビングを続けていられる理由は、人工魚礁の調査とテレビ撮影が仕事であったからに他ならない。 海洋大学の館山ステーションの沖にも人工魚礁がある。それも、自分が誘導して整列設置した魚礁で、実習場(当時の名称)センター長だった小池先生の研究論文があるはず。 潜水部は、館山ステーションをホームにしているのだが、この人工魚礁の近況を聞いても、答えはない。ボートでなければ行きにくいのだろうが、シーカヤックだって良い。だいたい、シーカヤックをダイビングに使おうという文化がないのだろう。 それもこれも、潜水部にリサーチ・ダイビングw教える。リサーチ・ダイビングをするという意識がないからだ。 これを機会にその方向を向いてくれたら良いと願いながら、このテーマをリクエストした。
by j-suga1
| 2019-10-29 11:26
| 日本水中科学協会
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